所得税の振替納税は便利!でも見落としやすい注意点があります
所得税の確定申告というと「申告書を作る・出す」ことに意識が向きやすいのですが、実はそのあとの納付もとても大事です。提出まで終えたら、必ず納付までお手続きくださいっ!!
はじめに
個人事業主の方、副業で確定申告をする方の中には、「振替納税にしているから大丈夫」と安心している方も多いです。
たしかに、振替納税はとても便利です。金融機関の窓口へ行かなくても、自分の口座から自動で引き落としてもらえるので、納付の手間がぐっと減ります。振替納税は、申告所得税および復興特別所得税、個人事業者の消費税等について利用でき、一度手続をしておけば、税務署や口座に変更がない限り原則として次回以降も継続されます。
しかも、通常の納付書で支払う場合は法定納期限までに納める必要がありますが、振替納税は国税庁が定める振替日に引き落とされるため、少しだけ資金繰りに余裕ができます。
令和7年分の確定申告では、所得税等の振替日は令和8年4月23日(木曜日)、
消費税は令和8年4月30日(木曜日)と案内されています。
でも、ここで油断は禁物です。
便利な制度だからこそ、思い込みでミスしやすいポイントがあります。
振替納税とは
振替納税とは、確定申告で申告した所得税などを、
あらかじめ届け出たご本人名義の預貯金口座から自動で引き落として納める方法です。
金融機関の窓口へ行って納付書で支払う手間がなく、うっかり納付を忘れてしまうのを防ぎやすいのが大きなメリットです。個人の確定申告では、申告所得税および復興特別所得税や、個人事業者の消費税及び地方消費税で利用できます。
なお、利用するには事前の手続きが必要で、一度登録しておくと、税務署や口座に変更がない限り、翌年以降も原則として継続して利用できます
初回手続きと提出期限
振替納税は「確定申告したら自動でそうなる」という制度ではありません。
初めて使うときは、口座振替依頼書という紙のものを所轄税務署へ提出する必要があります。
(なぜなら銀行印を押すので!)
現在は書面だけでなく、e-Taxのシステムからオンラインでもできます。
→具体的には、銀行のネットバンクとつなげるようなイメージで、暗証番号を入れたりするので、税理士としてお客様の代わりに操作するのは避けています。
そして、「確定申告書は必ず確定申告期日までに提出」しないと適用されず、振替納税に間に合いません。
提出期限について国税庁ホームページには、
振替納税をご利用される国税の納期限までに、「預貯金口座振替依頼書兼納付書送付依頼書」(振替依頼書)を作成の上、納税地を所轄する税務署又は振替依頼書に記載した金融機関へ提出してください。
とありますので、金融機関に持ち込むことも可能です。くれぐれも期限までにお手続きをお忘れなく!
住所変更・引っ越しをした方は要注意
これ、かなり忘れやすいです!
転居などで所轄税務署が変わった場合は、以前に振替納税を使っていても、そのまま自動で引き継がれません。
改めて手続きが必要になるか、変更届を提出します。
確定申告書の振替継続希望欄への記載や、納税地の異動・変更の申出書の提出によって継続できる場合もありますが、「引っ越したら一度確認」が安全です。
引っ越し後は、開業届や住民票、銀行住所変更など、やることが多いですよね。
その流れで税金の引落設定まで意識が回らないことがあるので、確定申告前にはぜひ確認しておきたいところです。
所得税・消費税の納税地の異動又は変更に関する申出書
(義務ではないのですが出すと安心!)
使える口座は「本人名義」
振替納税に使えるのは、納税者本人名義の預貯金口座です。本人以外の口座は利用できません。
個人事業主の方だと、屋号付き口座を使っているケースもあります。
実際の取り扱いで迷いやすいところですが、トラブルを避けるなら、個人名義の口座を使うのが無難です。
所得税と消費税は別で申請
振替納税は便利ですが、税目ごとに確認が必要です。
たとえば、所得税では振替納税を利用していても、あとから売上が伸びて消費税の申告・納付が必要になったとき、「消費税も当然、口座引落しだろう」と思い込んでしまう方がいます。
ところが、税目の扱いをきちんと確認していないと、消費税は振替になっておらず、納付書で期限までに払うべきだった、ということが起こります。
特に副業から事業規模へ広がってきた方、インボイス登録をした方は、税務署に問い合わせるか、e-Taxのマイページをみるなど一度確認してください。
残高不足に注意ください
振替納税は自動引落しなので、つい安心してしまいます。
でも、口座残高が足りなければ引落しはできません。
そしてここが大事なのですが、残高不足などで振替できなかった場合、法定納期限の翌日から延滞税がかかることがあります。
「振替納税にしていたのに、延滞税?」
はい、あり得ます。
クレジットカードの引落し、家賃、仕入代金、各種サブスクなど、同じ時期に口座から出ていくお金は意外と多いものです。
振替日の前日までに、税額だけでなく他の引落予定も含めて残高確認をしておくのがおすすめです。
意外と見落とすポイント
振替納税は、期限内に提出された確定申告分や予定納税分、中間申告分が対象です。
つまり、期限後申告や修正申告分は利用できません。
また、振替納税では領収証書は発行されません。
融資や補助金の関係で納税証明の確認が必要になる場面では、事前に把握しておくと安心です。
まとめ:便利だからこそ「思い込み」に注意
所得税の振替納税は、個人事業主にも副業の方にも、とても便利な制度です。
でも、
- 初回は期限までに手続きが必要
- 引っ越しで税務署が変わったら再確認が必要
- 本人名義口座が原則
- 所得税と消費税は別に確認
- 残高不足だと延滞税の可能性あり
このあたりは、ぜひ押さえておきたいポイントです。
「振替納税にしているはず」が、いちばん危ないんです。
確定申告の時期は忙しいですから、
申告書の提出だけで終わった気にならず、納付方法までセットで確認しておきましょう。
振替納税は便利な制度ですが、
「自分はこのままで大丈夫かな?」と、ふと不安になることもありますよね。
引っ越しをしたときや、副業収入が増えてきたときなどは、手続きの確認をしておくと安心です。
当事務所では、個人事業主の方や副業の方の確定申告に関するご相談もお受けしています。
少し気になることがある、という段階でも大丈夫ですので、どうぞお気軽にお問い合わせください。

